中国産食品

近年、食品への不安が高まっています。
「いったい何を食べたらいいの?」
「食の安全はどこへいってしまったんだ!」
といった声がよく聞かれるようになりました。

とりわけ中国産食品への不信感は強く、様々な調査でも「中国産食品は買わない」という人が全体の約70%を占めるようになっています。
マスコミ、メディアでも連日のように危険報道が繰り返され、不信感は増幅することはあっても沈静化することがなさそうな状況になっています。

ただ日本は食糧自給率40%にも満たない国なので、食品の半分以上を輸入品に頼らざるをえません。
とりわけ中国産は輸入食品全体の14.5%を占め(2006年)、日本が最も頼っている国であり、ただ安易に輸入を厳しく制限すればいいという問題ではありません。
その安全性を科学的、経験的にしっかり評価して、判断する必要があります。
当サイトでは中国産食品の安全性に関して、様々なデータを元に分析、考察していきます。
「ただなんとなく恐いから、中国産は食べない」
「高くても安全な国産しか食べない」
といった方々には特に読んで欲しい内容になっています。
今後の食生活の指針にしていただけると幸いです。


さて、中国食品の安全性をはかるうえで、最も身近で信頼のおけるデータは、輸入通関時の違反データでしょう。
そこで、『平成18年輸入食品監視統計』を調べました。
違反件数で最も多いのが、やはり中国で530件
次いで239件の米国、ベトナム、タイ、エクアドルと続きます。
ただ実際に国の衛生管理状況を良し悪しは、違反件数より違反率ではかられるべきです。
まず、検査件数の多かった国の違反率を調べると次の表の結果となりました。

ランク 国名 届出件数 検査件数 違反件数 違反率
1位 中国 578千件 91,264件
530件
0.6%
2位 米国 197千件 18,172件
239件
1.3%
3位 仏国 191千件 16,428件
27件
0.5%
4位 タイ 122千件 17,527件
120件
0.7%
5位 韓国 96千件 12,732件
26件
0.2%


この表を見ると、中国の違反率は米国やタイより低く、違反件数で受けた印象とはかなり違う面が見えてくると思います。
さらに、今度は検査件数に関係なく、違反率のランキング10位までを見てみましょう。
(検査件数70件以上の国を対象としています)


ランク 国名 検査件数 違反件数 違反率
1位 エクアドル
259件
69件
26.6%
2位 ガーナ
341件
62件
18.2%
3位 スリランカ
206件
9件
4.4%
4位 ペルー
259件
6件
2.3%
5位 フィリピン
1164件
24件
2.1%
6位 ベトナム
9001件
147件
1.6%
7位 ベルギー
1191件
19件
1.6%
8位 シンガポール
189件
3件
1.6%
9位 インド
2137件
31件
1.5%
10位 オーストリア
220件
3件
1.4%

このように中国は違反率の上位10位には入っていません。
では何位かというと、23位で違反率0.6%です。

23位 中国
91264件
530件
0.6%

違反率1位のエクアドルと2位のガーナはどちらもすべてカカオ豆で殺虫剤などが基準値を超えて検出されています。 また、違反率が高いのは発展途上国だけとは限らず、例えばアメリカやオランダはそれぞれ11位と13位に入っています。

11位 アメリカ
18172件
239件
1.3%
13位 オランダ
845件
11件
1.3%


このような結果から判断すると、決して中国産だけが危険というわけではないのがわかります。
しかも、輸入品全体の平均違反率は0.77%なので、中国はそれより低いのです。
なぜ中国産ばかりが取り上げられ、非難されているのかが不思議なほどですね。
やはり違反件数が多いため頻繁に報道されていることと、イメージの問題が大きな原因と思います。

ちなみに、上記の表の結果は検査件数70件以上の国だけを対象にしましたが、すべての国を対象にすると、 中国の違反率は30位になります。

ただ、もはや日本は食品の60%を海外に依存しなくてはならないところまできており、必ずどこからか輸入しなくてはなりません。
現在の世論の中国産に対する強い拒否反応から、それ以外の国に供給地を求めざるを得ないのですが、相手国を変えても何も解決にならないとうことが、これらのデータで示されています。
報道機関、そして消費者の冷静な対応が必要なのではないでしょうか。

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芳川充 (よしかわ・みつる)

(株)ジャパンフレッシュ、FMフード(株)代表取締役。食品アドバイザー。

1963年、北海道生まれ。北海道大学農学部農芸学科卒業後、食品業界に20年従事。
専門は水産物、とりわけウナギが詳しい。
食品の貿易を通じて世界約30カ国をまわる。国内の食品流通にも精通し、食品偽装や安全性、食品流通の実態を熟知。
2005年に独立し、現在は食品輸入のほか、IT関連ビジネスにも進出。SEOコンサルタントとしても活躍。

ここ数年、次々と発覚する食品事件とその偏向報道ぶりから、「食品の真実」を知らしめる活動を行うことを決意。講演やブログ、メールマガジンなどを通じて、「中国食品事情」をはじめ、「国産食品の安全性」や「農薬」「添加物」「食品偽装」などの実態を発信している。

ブログ;「うなぎを見れば日本が見える」 http://unagi-kiken.seesaa.net/ 
メールマガジン;「常識はウソだらけ!食品の安全と偽装の誤解」まぐまぐID;0000149975



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*中国産食品は非常に安全

「えっ!うそ!」
と思われるかもしれませんが、日本に輸入されている中国産食品は世界一の安全基準なの
です。
平成18年5月29日から全ての食品を対象にポジティブリスト制度に移行しました。
この制度は原則すべてを禁止し、残留を認めるもののみを一覧表にして示すという方式です。
それまでのネガティブリスト制度は、一定限度以上の残留を禁止する農薬をリストにしていたため、リストに載っていない農薬は事実上野放し状態であったという問題がありました。
つまりポジティブリスト制度によって、すべての農薬を対象に規制することになり、より安全性のハードルが高くなったということができます。
この制度は世界でも最も厳しいレベルのものであります。
厚生労働省の統計によると、平成18年度の中国からの輸入検査届け出件数は91,264件。
違反件数が530件。
違反率は0.58%。

つまり、中国食品の約99.4%は問題がなかったということができます。
中国は違反件数が多いから騒がれるのですが、その理由は輸入される量が圧倒的に多いから。検査件数が多くなれば違反件数も多くなるのはどこの国も同じです。
しかも、中国産の食品に関してはニュース性があるので、違反が出るたびに「またか!」
とばかりに報じられるため、中国産ばかり違反が出ている印象になっているのです。
中国産の違反率の順位は23位。
1位はエクアドル(26.6%)、2位がガーナ(18.2%)
先進国でもアメリカやオランダがともに1.3%で中国を大きく上回っている。

直近の平成19年4月から10月の、検査命令による違反率は下記

検査命令による検査実績

検査件数;52,737件
違反件数;292
違反率;0.55%

中国の検査件数;27154件
中国の違反件数;94件
中国の違反率;0.35%

違反率の高い国では、
アメリカ;1.78%
ベトナム;0.97%
全体の違反率の平均が0.55%に対して、中国は0.35%。
中国は平均値よりも低い数字です。

*2007年食中毒発生事例

厚生労働省が発表した2007年の食中毒発生事例をご紹介します。
これはいわば食品被害が昨年どの程度起こったかを示すものです。
表3
事例;1,023件
患者数;23,541人
死亡者数;5人

【死亡者原因】

1)動物性自然毒
ふぐ・・・・・・・・・・・1人
ウミスズメ(はこふぐ)・・1人

2)植物性自然毒
クラリオサの球根・・・・・1人
きのこ・・・・・・・・・・1人
未記載・・・・・・・・・・1人

この統計を見てまず感じるのは、死亡者が5人と少ないこと。
国民のほぼ全員が毎日摂取していることを考えれば確率的に限りなく0に近いともいえます。
過去10年での統計でも、死亡者は10人を上回ったのは2002年
の18人だけでした。
次に少ないながらもその死亡原因はすべてきのこやふぐなどの自然毒であったこと。
また、発生事例で最も多い原因物資はノロウイルスとカンピロバクター(細菌)、サルモネラ菌でこれら3つで全体の約7割以上を占めています。
また、原因物質のほとんどがノロウイルスとカンピロバクターという細菌であることも顕著でした。
食品に関してのリスクは、決して大きくない、いやむしろイメージと比べると
非常に小さいものではあることがいえると思います。
そのうえであえて食品に対して気をつけることを挙げるとすれば以下のことです。

1)ウイルス、細菌に気をつける
加熱をしっかりすれば防げます。生食に関しては特に抵抗力の弱い方は間違いのないものか細心の注意を払う。

2)天然の毒に気をつける
ふぐやキノコは食べ方や品種を間違えると、最悪の事態に至るケースがあります。
2004年に秋田県で起きたスギヒラタケによる食中毒事件は、通常は食用キノコのものが暖冬により変異したのが原因とされています。

つまり、近年「食品の安全」で恐れられている、「中国産」「養殖」「抗生物質」「農薬」「食品添加物」「水銀」「遺伝子組み換え」「ダイオキシン」などには、明確なリスクがほとんどないことがわかります。

*「食の安全」よりはるかに怖いもの
表4
日本での1年間の死亡者は約108万人。
原因の6割が成人病であるがん、心疾患、脳血管疾患です。
不慮の事故でいえば、交通事故死が約8千人、他殺によるものが約600人です。
自殺者はここ数年毎年3万人を超えています。
これらの統計から新たな思いをいだく方は少なくないと思います。
我々の生活において恐怖を感じなくてはならないのは、決して食品の安全性
などではなく他にたくさんあるということです。
生活習慣病は若年化し、今やだれもが気をつけなくてはなりません。
特に注意すべきはカロリーの摂りすぎと栄養の偏りです。
交通事故だって以前と比べ数は減っているものの、1日20人平均で死んでいることを考えるとまだまだ多いといえるでしょう。
また、今や誰から恨まれるようなことをしていなくても殺されるような事件が後を絶たない時代です。
猟奇的な殺人やただ殺したいがために殺すといった異常なものが増えています。
自殺に関しても、いつ自分の身に、経済苦や健康の悩み(自殺の主な原因)
が降ってくるかわかりません。

*食の安全はおびやかされていません!

近年、とりわけ2007年からは
「食の安全が脅かされている」
「食品への不安が高まっている」

といった言葉が毎日のように聞かれるようになりました。
しかし、この“常識”にしても、大きな誤解があります。

安全がおびやかされているということは、少なくとも以前より危険になったということでしょう。
しかし、日本では以前のほうがに大量の死者を出す食中毒事件が起こっていました。

また、輸入食品への検査基準値も過去数年間で、大幅に厳しいものとなりました。
5年前までは、現在の違反値の数十倍でも輸入されていましたし、検査自体やっていないものも多かったのです。

2007年、中国産うなぎから検出されて大問題になったマラカイトグリーンは、以前日本のサケマスの養殖に普通に使用されていたものです。

中国から食品は30年以上、輸入されてきて、
食べ続けているのに、一般的に日本人は高齢者にいたるまで健康です。
平成18年簡易生命表によると、
女性の平均寿命が85.81歳、男性が約79.00歳と毎年伸び続け、日本は
世界一の長寿国。


過去に発生した大規模な食中毒被害をみてみましょう。

その代表的例が
1955年「森永ヒ素ミルク中毒事件」
粉ミルク中に含まれていたヒ素により、1万3千人以上の乳児が神経障害、
臓器障害を受け、確認されているだけでも130人以上が死亡しました。

1968年「カネミ油症事件」
食用油にポリ塩化ビフェニエル(PCB)が混入したことによって、それを摂取した
人々に、皮膚病や手足のしびれなどの健康被害が起きました。
約1万4千人が被害を訴え、認定患者は2006年末で1900名あまり。

1950年代から60年代に起こったイタイイタイ病や水俣病は、それぞれ汚染された米や魚介類の摂取による大規模な被害でした。

1984年「ボツリヌス菌中毒事件」では、熊本県で製造された辛子レンコン
によって、36人が被害を受け、うち11名が死亡しました。

過去20年でいうと、このような事件は非常にまれで、唯一の大規模な事件が
2000年に起こった「雪印集団食中毒事件」です。
表2
以上のようにどこをどう見ても、「食の安全が脅かされている」のではなく、
「食の安全が高まっている」ということがいえます。

脅かされているのは「食の安全」ではなく、「日本人の心」なのだと思います。
おどかされると、すぐにビクつく、逆に良いと言われると、すぐに飛びつく。
そんな周りに流されやすい精神状態が健全であるはずがありません。

*食糧自給率向上は不要!?

日本は現在、国として食糧自給率を上げる取り組みを行っています。
政府だけではなく、民主党も自給率向上には積極的です。
現在の食糧自給率はカロリーベースで39%。
この数字は先進国中最下位。


食糧自給率を高めようとする表向きの主な理由は次の2点です。
1)食の安全のため
2)有事(戦争、天変地異)で海外から輸入されなくなったときのため

1)は理由にならないことは別の項で説明しました。
検査データで見ても、食中毒発生事例でみても中国産食品は決して国産に劣っていないどころか、
良い結果が出ています。
さて2)はどうでしょう。

まず、有事によって輸入が止まることがあるのでしょうか?
例えば台湾海峡が封鎖されるような事態になっても、いくらでも他のルートがあります。
日本は幸い回りがすべて海なので、回りすべてが封鎖されるような状態にならないと、
輸入が止まるようなことはありません。
このような完全封鎖をやる可能性があるのは、アメリカでしょうか中国でしょうか。。
もしくはすべての国と全面戦争に突入した場合でしょうか。
そういうことはあの第2次世界大戦でも発生しませんでした。
そこまで考えるのもどうかと思いますが、仮にそれがあり得るとしましょう。

もし完全封鎖になった場合、石油などの燃料も輸入されないということになります。
燃料のほぼ100%を輸入に頼っているのに、それが入ってこないとなると、
食糧より燃料が先に底を尽きます。いくら食糧があっても煮炊きする燃料がなくなります。
生で食べられるものだけではどうにもなりません。
つまり、エネルギーがなくなった時点で人々の生活はアウトになります。
そんな中、農産物など食料を生産してどうするのでしょうか。

だから、自給率を上げて国内産の食糧が豊富にあることが、
有事のためになるというのは論理的ではありません。
有事のためということであれば、食糧備蓄を増やすべきです。
しかも保管時も食べる時も燃料の要らない、缶詰類や乾燥品であるべきです。
では食糧自給率を上げた場合のメリットとデメリットを挙げます。
唯一のメリット;国産農家が潤い、日本の農業が活性化する
デメリット;食品が高くなって、低所得者層の生活を圧迫する

このデメリットは単にコストが高いというだけではなく、
狭い国土の日本での農業に依存していたら、それこそ冷夏、洪水などの問題が
起こったときに不作の影響をモロに受けることになるリスクも大きいといえます。
僕はこの事実を知ったうえで、食糧自給率を上げるという選択をするというのは
ありえると思います。
国民のコンセンサスを得られるのであれば。
ただ、その場合、本来競争力のない日本の農業を応援しても日本の経済全体にとっては
マイナスということは知っておくべきです。
農家は選挙の時の票になるので、政治家は農家のためになることをやろうとします。
当然、行政もそのように動くことになります。
ただ、「農家保護」を全面に押し出して、自給率向上を掲げると反発を買うので、
他の理由を持ち出しているように思います。
「安全のため」「有事のため」というのを隠れ蓑にして、
農家保護を行うのはやめるべきではないでしょうか。